「今月開催する『聖闘士聖衣神話(セイントクロスマイス)』10周年プロジェクト発表会では重大発表が行なわれます!」

株式会社バンダイ コレクターズ事業部 企画開発第一チームマネジャー 横川愼一インタビュー

日本のみならず、車田作品には全世界に熱烈なファンが存在する。
それは、車田作品を扱った商品においても同様。
なかでもフィギュアに関するユーザーの温度の高さはかなりのものだ。
そこで今回は「聖闘士聖衣神話(セイントクロスマイス)」の企画チームを統括する横川マネジャーを直撃! 
二次元の作品を三次元化する際の裏話を聞いてみた!

「聖闘士聖衣神話」は世界10数カ国で累計700万個突破!
 



――横川さんはいま、『星矢』関連の部署でなにを担当されているんですか?
横川 私はいま「聖闘士聖衣神話」の企画チームを統括しています。昔から車田先生の作品はもの凄く好きでしたので、『星矢』を担当できることは凄く嬉しいですね。
――いつ頃から『星矢』の玩具に関われるようになったんですか?
横川 私が入社したのは1990年なので、アニメの『星矢』の放送は終わっていたんです。だから最初は『星矢』との仕事での接点はなかったんですけど、2003年頃にキャンディ事業部(食玩の部署)の時に「ハーデス十二宮編」のアニメ化の動きもある中、食玩の『星矢』(MFS)に関わるようになりました。ですから、その辺りの食玩が最初になります。
――「ハーデス十二宮編」辺りですか。
横川 はい。ただ、僕らの世代だとどうしても一番思い入れが強いのが『リンかけ』で次が『風小次』なんです。
――世代によって分かれますよね、その辺は。
横川 ええ。だから(2004年に)『リンかけ1』がアニメになったタイミングで商品化ができないかと検討しまして。諸々調整の末、日本Jr.の素立ちのカッコいいヤツを2007年に商品化することができました(嬉しそうに)。後にも先にも自分の嗜好(?)で作ってしまったような商品はこれだけですね。アポロンやスコルピオン達はスケッチだけで終わりましたが。
――あ、あれを企画されたんですね! 『星矢』でも素立ちの商品(食玩)があったと思いますけども。
横川 それも当時、自分のチームで担当しました。 
――ああ、やっぱり! 『星矢』のほうは青銅の5人と黄金聖闘士12人を含め、結構、いろいろな種類がありましたよね。
横川 シャカの目が閉じているものと開いているものがあったり、サガは善と悪の二種類があったりしますからね。
――そうでした、そうでした。
横川 そういった商品を担当しながら、2010年にコレクターズ事業部に異動したんですけど、その時に「聖闘士聖衣神話」を自分のチームで預かることになりました。



――これまでにも「聖闘士聖衣神話」はかなりの種類が出ていると思うんですけど、なにが一番人気があるものですか?
横川 やっぱり黄金聖衣ですかね。最近、従来の「聖闘士聖衣神話」よりも可動性をより高めた「EX」っていうメインで展開しているシリーズがあるんですけど、これだと世界規模で販売するボリュームです。
――それはかなり凄いことなんですよね?
横川 普通、国内で販売している平均的なフィギュア商品の6倍くらいの数量を世界で販売していますね。
――じゃあ『星矢』は平均の6倍以上ですか!
横川 ええ。そのうち3分の1くらいが日本での出荷ですが、『星矢』の凄いところは日本のみならず、アジア諸国や北米、さらには南米(ブラジル、メキシコ)やヨーロッパ(フランス、イタリア、スペイン…)と世界10数カ国で売れていることですね。これだけ広く海外で販売されている商品はないですよ。特に「EX」の黄金聖衣は全世界で凄い人気ですね。
――黄金聖闘士は12人いるわけですけど、それぞれが同じくらいの人気?
横川 そうですね。そのなかでもジェミニとサジタリアスの黄金聖衣はスーパートップ級ですね。 
――ジェミニとサジタリアスが!
横川 ええ。サジタリアスは『星矢』の象徴みたいな聖衣ですし、ジェミニはラスボス的な感じがありますし、やっぱりサガってカッコいいですもんね。
――はいはいはい。
横川 実は冥衣バージョンのサガのほうがドラマ的にもそうですし、一番カッコいいっていう声も聞きますし、是非ラインナップしていきたいですね。





「『聖闘士聖衣神話』の場合、企画から商品化までは1年かかります」


――昨年の4月から『Ω』の放送が開始されましたけど、これに関してはなにか動きがありますか?
横川 この4月から『Ω』では新生聖衣編が放送されているんですけど、今回設定等を東映アニメーション様と情報交換しながら聖闘士聖衣神話化に向けて進めさせていただいております。
――新生聖衣編になって、聖衣のオブジェ形態から装着される場面が出てきましたね。
横川 3月までの『Ω』では「S.H.Firuarts(エス・エイチ・フィギュアーツ)」という『Ω』の(装着ものではない)フィギュアは出していたんですね。そのアンケートでも「聖闘士聖衣神話」を買ってくれているユーザーさんのアンケートでも『Ω』を見ているファンの方は多いんですね。であれば『Ω』のキャラもマイス化することで喜んでくれるファンも多いのではないかと考えました。
――新生聖衣編の光牙の商品が店頭に並ぶのはいつ頃になるんですか?
横川 おそらく今秋頃でしょうかね。光牙たちの聖衣のディテールは、クリスタルな部分がデザインに配されているので、従来の『星矢』とは違ったマテリアルが楽しめると思います。
――ズバリ企画から商品化までどのくらいかかるものなんですか?
横川 1年くらいかかりますね。
――1年!
横川 例えばいまの段階で「聖闘士聖衣神話」でも設計が進んでいるのが来年の2、3月発売のものですから。時間軸でいうと企画から設計があって、それから金型を作るのに3カ月はかかります。そこから生産に入って、お手元に届くまでには、やっぱり1年でしょうかね。
――聖衣はかなりスタイリッシュなデザインなので、商品化するのは大変なんじゃないかと思いますね。
横川 実際、「聖闘士聖衣神話」シリーズをはじめたのは、「昔のアニメ放送時に出したフィギュアのディテールはアニメや原作と比べると甘かったよね」っていう声からはじまったんですよね。
――ああ、なるほど!
横川 確かにいまコレクターズの大人向けクオリティで作ると、デザイン的に先の部分がとんがっていたり、エッジが効かせたりできますからね。
――素朴な疑問ですけど、確かに玩具の先が尖っていると危ないのはわかるんですけど、その基準にはどんなものがあるんですかね?
横川 STという基準がありまして。日本玩具協会が定めた安全基準ですが、「聖闘士聖衣神話」は大人向けトイですからこの基準には該当しないので、別途安全性は考えつつディティールも追求していけるということですね
――確かに昔のものと比べると、その精巧さに驚きます。
横川 いま出ている商品で注意しているのは、顔のイメージがアニメや原作のイメージを損なわないように。なるべく動かしてもポロポロ取れないようにするとか。その点でしょうかね。











 

「車田先生のオリジナルフィギュアは、誕生日プレゼントにウチらしいものができないかと思いまして」



 

――一昨年の暮れでしたか。車田先生の誕生日(12月6日)の贈り物として、「聖闘士聖衣神話APPENDIX」のサジタリアス聖衣の頭部を、『実録! 神輪会』に登場する車田先生のキャラクターの顔で制作してプレゼントされていたじゃないですか。
横川 はいはいはい。あれは、僕らが力技でやりました(嬉しそうに)。
――ああいうオリジナルの制作も受け付けているんですか?
横川 やってないですね。だから、もし誰かから「作ってくれ」と言われてもできません(笑)。
――完全な限定品なんですね。期間はどのくらいで作ったんですか?
横川 2週間~3週間弱でしょうか。量産品だとそういうわけには行きませんが“1個もの”なので、なんとか短期間で行きましたね。
――あれはなかなか凝ったプレゼントでした。
横川 僕らの世代だと『実録! 神輪会』を読んでいましたから、そこに出てくる先生のイメージが強いんですよね。
――はいはいはい。
横川 『リングにこけろ』は愛読者賞の読者投票で第1位に輝いたとか(嬉しそうに)。
――わかります、わかります。
横川 もし先生の写真から作ったら、そこまで似せて作れなかったと思いますけど、その辺の絵のイメージがあったので、シリアスバージョンとギャグバージョンの2パターンを作らせていただいたんです。




――ちなみに横川さんの世代的に考えると、例えば『風魔の小次郎』に出てくる、伝説の十聖剣を商品化する動きってないですかね?
横川 個人的には欲しいですね、(嬉しそうに)。風林火山、黄金剣、竜魔の持っていた征嵐剣とか。みんなカッコよかったですよね。
――もちろん実物大でなくていいから商品化してほしいです!
横川 竜魔の周りに「死鏡剣」で割れた鏡の破片が飛び散っているヴィネットとか、個人的には欲しいですよねえ! 
――もし十聖剣が難しいなら、素立ちの小次郎キャラを見てみたいです。
横川 わかります、その気持ちは。
――その辺は今後の動向を見守りつつ『星矢』に話を戻すと、近いうちになにか発表があるとか。
横川 実は、「聖闘士聖衣神話」の10周年プロジェクト発表会というものがあるんです。
――プロジェクトですか!
横川 ええ。日本だけでなく世界をまたに駆けたプロジェクトですね……。
――かなり大掛かりなプロジェクトですね。
横川 実はそのイベントに車田先生のイラストをお願いしたいと打診させていただいてまして。
――うわっ、それも楽しみですね!
横川 先生もお忙しいので大変かと思うのですが、こちらとしては10周年プロジェクトのフラッグシップとなるような、漫画のトビラ絵的なものがお願いできればと考えております。これが実現すれば、世界中でかなり大きな反響があると思います。それからそのイベントでは記念商品の発表や驚きのアイテムの展示も予定されています。
――重大発表!?
横川 今年の先生の誕生日が発売日ターゲットですが、それに向けて、開発が進行しておりますので、そのアイテムも発表されますね。
――なにが発表されるのか、ワクワクしますね!
横川 ええ。スタッフも皆楽しみにしてるんですよ(嬉しそうに)。

http://kurumadapro.com/interview/


Leave a Reply