9月20日、東映ビデオ株式会社にて「聖闘士星矢 THE MOVIE Blu-ray BOX 1987~2004」のボーナスディスクの特典収録記者会見が行われ、声優でペガサス星矢役の古谷徹、アテナ役の潘恵子、そして山内重保監督が数年ぶりに再会し、当時の思い出や本作へ熱い思いを語り合った。





 この日はボーナスディスクに収録される「スペシャルインタビュー&対談 2011」のために7年ぶりの再会を果たした3人。収録が行われたばかりの対談では「星矢と沙織の関係は男と女としてはどうなんだ?」など突っ込んだ内容も語られているというが、中でも潘がオーディションで役に選ばれたのではないと明かされると、これには古谷もびっくり。「僕らは同じ日にオーディションをやったのですが、潘さんがオーディションでないことを知って驚きました! この25年間知らなかったです」と本当に知らなかった様子。また、古谷は当時役に入り込むためにオーディションには星矢のコスプレで挑んだことが暴露されると、潘は「わたしは逆に服装とかでイメージされたくないんです。声で勝負したいので逆に役とは反対の服装でオーディションに臨んだりしますね」とこだわりを明かしていた。



 本作がアニメ化から25年たった今でも愛される理由について、古谷は「当時は本当に才能あふれる方々が集まっていました。声優もみなそれぞれの役に本気で声優人生を賭けてやっていました。その情熱から発するエネルギーが『星矢』という作品に生きていて、25年たった今でも世界中の人たちに支持される理由だと思う」と分析。今でもポスターを見れば星矢の気持ちや声になれるといい、「細胞に記憶されているみたいで、すぐに再現できます。本気でそのキャラクターを演じて、本気でそのセリフを言って、共に泣き笑いして、傷つき戦って、同じようにコスモを燃やしていないと無理ですけど(笑)」と懐かしそうに振り返った。






 


 それほど役に入り込み星矢を演じてきた古谷だけに、星矢を演じるうえで一番苦労したシーンは究極までコスモを燃やすシーンだったとう。「究極までコスモを燃やすときって星矢は毎回ボロボロなんですよ。ボロボロ感と究極までコスモを高めるエネルギーは相反するものなので難しかったです。毎回、映画のたびに寿命が縮まる思いですよ」と収録中のエピソードを明かしていた。



 「聖闘士星矢 THE MOVIE Blu-ray BOX 1987~2004」は1985年より週刊少年ジャンプ誌上で連載し、翌年1986年よりTVアニメ化された人気アニメ「聖闘士星矢」の生誕25 周年を記念したBlu-ray BOX。1980年代に劇場公開された4作品と2004年に公開された映画『聖闘士星矢 天界編 序奏~overture~』ほか、ボーナスディスク付きDVDなども同封されるファンならば欲しくなること確実のアイテムとなっている。(取材・文:中村好伸)



Blu-ray BOX「聖闘士星矢 THE MOVIE Blu-ray BOX 1987~2004」は2011年11月21日発売 税込み価格: 1万7,850円 発売元:集英社・東映アニメーション・東映ビデオ 販売元:東映



特典のDVDでは、主役・星矢の声を担当した古谷徹さんと、ヒロイン・アテナの声を担当した潘恵子さん、そしてシリーズの監督を数多く手がけた山内重保監督が、作品について語っている他、スペシャルインタビューが収録される。


 なお擬似5.1ch化は、現存する音源をもとに製作されている。また『天界編 序奏~overture~』の音声は、DTSステレオ方式で製作された劇場音声を収録したものだ。







▲『聖闘士星矢 邪神エリス』

 






▲『聖闘士星矢 神々の熱き戦い』



▲『聖闘士星矢 真紅の少年伝説』


▲『聖闘士星矢 最終聖戦の戦士たち』


▲『聖闘士星矢 天界編 序奏~overture~』



 




今回、特典映像の収録後に、古谷徹さんと潘恵子さん、山内重保監督が記者会見を行った。当時の思い出や作品の魅力についてコメントしているので、ぜひご覧いただきたい。(インタビュー中は敬称略)


――特典映像は、どういう内容になっているのでしょうか? 少しだけお話いただけますか?


古谷:ずいぶん、いろいろとしゃべりましたからね(笑)。


:当時の初めての出会いはおもしろかったですね。オーディションがあったことに驚きました。それくらいに、5人のキャストには力を入れていたんだと思います。


古谷:青銅聖闘士(ブロンズセイント)は皆、オーディションだったので、逆に潘さんはオーディションじゃなかったことに驚きました! それはこの25年間、知らなかったことです。


:本当? でも、オーディションで勝ち取るってすごいことですよね? 私はオーディションがないことが、結構多いんです。


古谷:女神とか女王とか得意ですからね!(笑) あとはこの3人で、星矢と沙織の関係性、アテナとそれを守護する聖闘士ではなく、男と女としてどうだったのかということを話しました。その辺はファンの人は……。


山内:今、バラしちゃダメだよ! ずいぶんヤバいことを話しているから(笑)。


古谷:ぜひ、特典映像を見ていただきたいです!!


――25年、4分の1世紀が経ちましたが、何十年と愛されるキャラクターに対してどういう気持ちを抱いていますか?


古谷:自分が本気で取り組んだキャラクターが、多くの人に長い間愛され続けるのは、ものすごくうれしいですよね。ありがたいですし、そういった作品やキャラに出会えたのは幸運だったと思います。


――キャラの気持ちや声を長い間とどめておくのは大変ですか?


古谷:キャラクターを見れば、その時の気分や声のトーンはすぐに再現することができます。たぶん、自分の細胞に刻まれているんだと思います。ただ、それは本気でキャラクターを演じて、本気でセリフを言って、同じように小宇宙(コスモ)を燃やしていないと無理ですね。


――収録されている劇場版の中で、好きな作品はどれでしょうか?


古谷:『真紅の少年伝説』が好きですね。波止場で星矢が号泣するシーンが印象深いです。


山内:一番よくできているのは、なんだろうなあ。流れに乗って一気にいって、終わった時のよさは『神々の熱き戦い』ですね。


古谷:よくできているのは『真紅の少年伝説』じゃない? 72分と時間も長いし。


:私は『天界編 序奏~overture~』かな。最後のシーンで、沙織に記憶があるのか、ないのか、わからず終わって、見た人が自分で考えるシーン。人間に生まれてきた時の記憶がないのと同じなので、自分の人生とダブって、すごく好きです。


古谷:星矢と沙織にとっては『天界編 序奏~overture~』はいいんだけど、他の青銅聖闘士の活躍の場が少なかったんだよね。


――星矢を演じていて、苦労したのはどういったシーンですか?


古谷:苦労したのは、究極まで小宇宙まで燃やすことですね。究極まで小宇宙を燃やす時っていうのは、だいたい星矢はもうボロボロなんですよ。そのボロボロ感と、究極まで小宇宙を高めるエネルギーは相反するものなので、そこが難しいところで苦労しました。


山内:『真紅の少年伝説』でも、星矢は歩いているシーンはたくさんあるけど、どれもボロボロだったもんね。


古谷:いつも千鳥足っていう。『聖闘士星矢』の劇場版を収録すると、寿命が縮まったくらいの虚脱感を感じるんです。星矢とともに戦って生きてきました。


――星矢がアニメ化されて25年。今年はパチンコやミュージカル、ゲームなど、さまざまな展開が行われますが、これほどまでに愛される作品の魅力はどこにあると思いますか?


古谷:正義、友情、勇気、そして愛という熱血ヒーローアニメの王道をいっている作品。それだけでなく、神話や星座という大きなスケールでロマンのある題材・世界観がバックにあるのが1つの大きな魅力だと思います。


 また、車田正美先生の原作に加えて、今ではなかなか実現できないような、業界の巨匠の皆様たち……荒木伸吾さんのキャラクター、横山菁児さんの音楽、山内監督の演出技術。そしておこがましいですが才能あふれる声優陣。1つ1つの役に声優人生をかけていた役者たちの情熱から発するエネルギーが、この作品に生きていた。それらが、25年経った今も、世界中の人たちから愛される理由なんじゃないかと思います。


:古谷さんが“熱血ヒーロー”とおっしゃっていましたが、「熱血ヒーロー物にしては神秘的だ」というのが私の中にはあります。そこが男女問わず楽しめた原因だと思います。先ほど見させてもらったのですが、ここまで新鮮なアニメーションが作られることは、ひょっとしたらないんじゃないかと思うくらい、荘厳でドラマティック。12星座や神話が出てくるので、初めて見る女性でも興味を持っていただけるんじゃないかと思います。


山内:皆言われてしまったような気がしますが(笑)……技術的にいって、デジタルではない時代に、かかわっていた人が全員一生懸命で、それこそ小宇宙を燃やして作った作品。先ほど見させてもらって、自分ではすっかり忘れていたんですが、本気で作っていた中身になっていたと思います。スタイリッシュではないんですが、泥にまみれてもやり通すという力を感じられる作品で、それを見ている人が感じとってくれているんじゃないかと思います。昨今のアニメとは違うんですが、気持ちが入りこんでいる作品なので、見てもらいたいです。


――最後に古谷さんからファンへ、メッセージをお願いします。


古谷:最新の技術で、映像もサウンドもグレードアップしています。横にいる山内監督が手がけた作品も3本入っています。原作の車田正美先生、荒木伸吾さん、横山菁児さん、そして今ではそろうことのない演技派声優陣。スタッフ全員が、それぞれの立場で小宇宙を全開に燃やして情熱をかけて作った作品なので、それを味わってほしいと思います!






 

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